防衛機制
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防衛機制
防衛機制とは、切迫した状況に陥ったときに自分が傷つくことを防ぎ、自分自身を維持しようとする心の動きのことを言います。不安や不快な気分になるのを防ぐ役割を果たします。これは適応規制とも言います。ここではその例をいくつか挙げていきます。これだけでは対応しきれず、心身に症状が出ることもあります。人により癖があり、それを見つけることもストレスの解消に役立つときがあります。
参考文献
あるカウンセラーのノート(財団法人 関西カウンセリングセンター)
抑圧
不安のもとを無意識に圧迫し、パーソナリティの安定を得ようとする働きですが、強すぎると心の緊張をもたらし、不安定になります。「臭い物には蓋をしろ」的な働きのため、臭いものがなくなるわけではありません。
●具体例
昔、「ある特徴」を持つ人に嫌がらせを受けた経験があった。
それを忘れているけれど、なぜか「ある特徴」を持つ人が、理由もなく好きになれない。
反動形成
自分が非常に憎んでいる人に対し、かえって親切な言葉や丁寧な態度をとることがあります。抑圧するだけでは処理しがたい強力な嫌悪感や衝動を防衛するために、意識の上では正反対な傾向や態度を表すことです。
●具体例
理由は分からないが、どうしてもうまが合わない後輩がいる。
しかしその後輩にだけ丁寧に仕事を教えている。
投射・投影
自分の弱点を他人の中に見出したり、自分の責任を他に転嫁したりといったようなことで、自分の抑圧された態度を認めることの不安を隠す働きをします。
●具体例
クラスでとてもわがままな人がいて、とても嫌だ。
でも実は、自分のわがままがその人に通じないだけだった。
退行
その年相応の時点で解決しにくい場合、幼児的な発達段階まで逆戻りして、解決する働き。
●具体例
弟が生まれた途端、今までしっかりしていた兄に、指しゃぶりやおねしょが始まる。
摂取・同一化
ある対象に向けている強い感情が動機となり、その価値的内容を自分の中に無意識的に取り入れ(摂取)、それと同一傾向を示す(同一化)ようになる働き。
●具体例
人気のあるタレントの服装を真似たものが流行する。
否認
内外の客観的現実を無視することにより、意識にのぼらせないようにする働き。
●具体例
子どもがスーパーマンの真似をすることにより、自分が無力であることを無視する。
置き換え・転移
内側の不安を外側のものに移す働き。
●具体例
恋人からの贈り物を、失恋したら破棄するなどして、その贈り物にあたる。
昇華
抑圧されていた原始的な本能衝動のエネルギーが、本来の直接目標を離れて、社会的に容認・適応された行動に変わること。防衛機制の中で唯一の好ましい働き。
●具体例
日頃の鬱憤を、スポーツや芸術を通じて解消する。
合理化
自分が失敗をした時に、もっともらしい理屈を後付けする働き。
●具体例
試験で不合格になったときに「勉強不足だった」「試験官がおかしい」などと言う。